■全国公開中
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
【STORY】
“人類の歴史を変える力”を持つ究極の秘宝《運命のダイヤル》を巡り、考古学者にして冒険家のインディが、因縁の宿敵、元ナチスの科学者フォラーと全世界を股にかけて陸・海・空と全方位で争奪戦を繰り広げる!
このコーナーでは、字幕翻訳家の戸田奈津子さんが最新映画のセリフから、「生きた英語」を学ぶヒントをピックアップしていきます。
前作の『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』(’08年)に続く、シリーズ最終章。15年後にハリソン・フォードの“インディアナ・ジョーンズ”を再び見られるなんて思ってもいなかったので、嬉しい驚きでした。それにしても、第1作『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』(’81年)や、続く『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』(’84年)は、本当に面白かった。こういうハラハラ・ドキドキさせる、いわゆるクリフハンガー(Cliffhanger)はスティーブン・スピルバーグ監督の独壇場。誰にも真似ができません。今作ではスピルバーグは製作担当で、監督は後輩ジェームズ・マンゴールド。さて巨匠の技をどれだけ踏襲しているか? 映画館で御覧ください。
英語のフレーズは、大学で考古学を教えるインディが何を質問しても無反応な生徒に向かって皮肉っぽく。
インディ:I guess I’ll spoon-feed it to you.
どうやら君たちには、スプーンでご飯を食べさせなきゃいけないようだな。
ということは、「赤ん坊のようにスプーンで食べさせる」→「甘やかす」「手とり足取り教える」という表現になります。ついでに、<spoon>の面白い使い方をもうひとつ。「The kids are always spooning in the bed.(子どもたちはいつでもベッドでスプーンのようにして寝ている。)」。つまり“スプーンのように”は、スプーンを重ねたように横向きにくっついて寝ているということですね。
そして、旧友の娘ヘレナと出会い、彼女が父親と同じ考古学を勉強していると知った時は。
インディ:Archeology? Wow. Apple didn’t fall far.
考古学? 驚いたな。リンゴは遠くに落ちなかったんだ。
<Apple didn’t fall far.>は、リンゴの木を親に見立てた諺で、「親の血を引いたのか」「血は争えないものだな」という意味。日本でも「カエルの子はカエル」なんて言いますよね。
ハリソン・フォードと最初に会ったのは’78年で、『スター・ウォーズ/新たなる希望』(’77年)のプロモーションでの来日。なんと45年前(笑)。いまでこそ超・有名スターですが、当時はほとんど無名で、顔も知られていなくて、銀座通りを歩いても誰も振り向きもしませんでした。思えば、ハリソンとはちょっと不思議なご縁がありました。’83年に再婚したメリッサ・マティソンは、かつて『地獄の黙示録』(’79年)の撮影中にフランシス・フォード・コッポラ監督のアシスタントをしていた女性。私は、度々来日するコッポラ監督の通訳として彼女とも親しくなっていました。そして、ある時、突然にハリソンと手を繋いで来日。「私たち、結婚したの。」と言われてびっくり仰天。人のご縁は、本当にわからないものです。
再会から数年後、『推定無罪』(’90年)の取材の通訳でロサンゼルスに行った時には、超高級住宅地ウェストウッドにあるご自宅を訪問。2人の間に生まれた三男のマルコムと長女ジョージアちゃんにも会いました。あの時、ぐずっているジョージアを抱き上げてあやすハリソンがとても微笑ましかったです。そんなご夫婦も2004年には離婚し、2010年にキャリスタ・フロックハートと再々婚。本作をお披露目した今年のカンヌ国際映画祭のレッドカーペットでは、奥様をエスコートするハリソンは満面の笑み。お幸せそうで、なによりです。ちなみに、最後にお会いしたのは『ブレードランナー2049』(’17年)の来日。今回の海外キャンペーンも、ご自身は「日本だけには、行きたい。」と言っていたそうですが、結局、実現せず。久しぶりにお会いしたかったのに……残念です。
▽『ブレードランナー』(’82 年)の公開後35 年ぶりに登場した続編
『ブレードランナー 2049』より
主人公のブレードランナー=Kにはライアン・ゴズリング。ハリソン・フォードは前作同様に、元ブレードランナーのリック・デッカード役で出演。セリフは、Kが人気のない小屋に入っていくシーンで。
K: I hope you don’t mind me taking the liberty.
勝手なマネをして、申し訳ありません。
<I hope you don’t mind>は、「気を悪くしないで」「あなたが気にしなければいいけど」という、気づかいを表すフレーズ。その時には、自分がやることは<~ing=現在進行形>することをお忘れなく。また<take the liberty>の直訳は「自由をとる」ですが、「勝手に~をする」「失礼ながら~をする」の意味です。
(情報は記事公開時点の内容です)