『ONE PIECE FILM RED』田中真弓&名塚佳織が明かすアフレコ秘話と仕事観とは?
©尾田栄一郎/2022「ワンピース」製作委員会

アニメ『ONE PIECE』の劇場版最新作『ONE PIECE FILM RED』が8月6日より公開。本作の鍵を握る歌姫・ウタがシャンクスの娘であるということが大きな話題を呼んだ。今回は1999年のTVシリーズの放送開始以来、20年以上も主役を務めているルフィ役の田中真弓と、そして今作の新キャラクター・ウタ役の名塚佳織に、映画の見どころとそれぞれのキャラクターの魅力を存分に語っていただいた。そして、話は緊張感あふれる収録スタジオの様子から、声優というプロフェッショナルな職業への心構えまで、人生論ともつながってくる深い話へ……。

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2022年7月に連載開始25周年を迎える人気作品『ONE PIECE』

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ルフィを演じる田中真弓

田中: 今回の映画のお話を最初にいただいた時、タイトルを聞いただけで『RED』ということは、シャンクスが出る! とすぐにわかりました。「彼が出てきたらいったいどうなってしまうのだろう?」と、ドキドキしながら台本を読みました。個人的には「え、シャンクスに娘がいたの? どうして今まで教えてくれなかったんだ⁉」という気持ちです(笑)。これまでもいろんな冒険をしながら新しいキャラクターと出会ってきましたけど、ウタはルフィの幼馴染なので、実は昔出会っていたということですよね。マンガの連載もあって、TVアニメがあって、さらに映画で新たな情報が出ていって、様々な部分で楽しめる凄い作品ですよね。幼少期の話も出てきますので、これまで演じてきたルフィの過去を思い出しながら演じました。

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シャンクスの娘・ウタ役をAdo(歌唱)とのWキャストで演じる名塚佳織

名塚: 私は、ストーリーも収録の現場も、驚きの連続でした。そもそも映画に出られると決まっただけでもすごいことなのに、しかもシャンクスの過去に関わっていて、ルフィとも深い関わりのあるキャラクターですから。オーディションの結果をいただいたときは驚きすぎて、ものすごく薄いリアクションをとってしまいました……(笑)。その後にスケジュールや資料をいただいたり、監督とお会いして打ち合わせをしたりしてやっと、「私が演じるんだ……!」とジワジワ実感が湧いて来た感じです。収録の2週間前になってから、急に緊張して鳥肌が立ってしまって。気づくのが遅いですね(笑)。

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©尾田栄一郎/2022「ワンピース」製作委員会

ウタは、素性を隠しながらも世界中の人々に歌声を届けている歌姫。『ONE PIECE FILM RED』では、そんな彼女が初めて世間に姿を見せるというライブの会場に集まったルフィたちの前で、ウタについての衝撃的な事実が発覚する。

名塚: ウタの魅力は、やりたいことを貫こうとする強さ、純粋さ、真っ直ぐさ、天真爛漫なところもかわいらしいんですが、ちょっと頑固で、意固地なところもあります。自分のためではなく、みんなのために、なにかしたいと願っている。そういう部分がうまく表現できていたらいいなと思います。

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©尾田栄一郎/2022「ワンピース」製作委員会

総合プロデューサーは原作者・尾田栄一郎

ウタの歌唱シーンは「うっせえわ」の大ヒットでブレイクした歌い手・Adoが担当。「2人1役」でウタのキャラクターを作り上げた。

名塚: アフレコ前はとにかく時間の許す限りAdoさんが歌うウタの歌を聴いて、自分の歌のようになるように、いつでもフレーズや音が頭のなかに響くようになるまで過ごしていました。どの曲も雰囲気が違っていて、これだけの雰囲気や歌い方の幅広さを出してくださるなら、普段のウタが会話するときの性格にも幅を持たせることができますし、これはきっと面白くできるなと思いました。

田中: 私がAdoさんの歌を聴いたのは仮映像を見た時なのですが、2人で演じているような違和感がなく、とても自然に“ウタの歌”として聴くことができました。Adoさんの歌から名塚さんのセリフに移るところの自然さ。これが本当に素晴らしいと思いました。

名塚: 尾田先生が映画の設定資料を書いてくださったんです。そこにはウタがどうやって育ったのか、どんな環境にいたのか、どうやってルフィと過ごしていたのか。何ページにもわたって描かれていました。「よし、思い切って自分が受け取ったままを出してみよう」と思い、アフレコに挑みました。

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プロフェッショナルな収録現場

本格的に『ONE PIECE』の現場に入ったのは初めての名塚は、田中が本番まで気持ちを作っていく様子に「プロフェッショナルを感じた」という。劇場版といえば、TVよりもスケールアップしたシーンも大きな見どころ。ひとつの場面のなかで誰がどう動いているか。演じる側も画面と台本を見ながら現場で激しく格闘している。

田中: バトルシーンも多いので、「うおおおおお!」とか「ぐおおおおお!」とか、台本に何ページも書いてあるんですよ。最近では本番をMAXに持っていけるように、テストでは軽く声を出しながらセリフの位置を確認して、本番1発で決めるようにしてます。そういう意味では今回の名塚さんも大変だったんじゃないかな。ウタは歌姫ですから、広いステージに立って常に声を張り上げていて、すごくタフだなぁと。心配になって「大丈夫? 休む?」って声をかけちゃったくらい。ね?

名塚: そうですね。ウタはライブ会場で「みなさーん!」と呼びかけることのほうが多かったので、確かにちょっといつもとは違う疲労を感じましたね(笑)。私は声帯は割と強いほうで、1日中セリフの収録があっても大丈夫なんですけど、ウタに関しては半日が限界だなと。

田中: やっぱりそうだよね。本番前のテストから全力で臨んでいたから心配しちゃって。

名塚: ウタは今回の収録をしながら作りあげていってキャラクターなので、どうしてもそういうわけにはいかなかったんですよね。真弓さんのアフレコを後ろで見ていて「すごい…!」と思ったのは、まさにそのテストから本番へのスイッチの切り替えでした。今回同じく映画オリジナルキャラクターのゴードン役の津田健次郎さんとも、みなさんのテストから本番へのエンジンの掛け方がすごい! いう話になりました。「本番の一発にすべてを懸けているあの感じ、凄まじいよね(笑)」って。

田中: 若い頃はそんなことしなくても大丈夫だったんだけど、声を枯らしてしまうとそれだけみなさんに迷惑をかけることになるので、そうならないようにいろいろと工夫するようになりました。

名塚: 田中さんと、シャンクス役の池田秀一さんと一緒に収録ができたことはとてもうれしかったです。この作品以外でも真弓さんの演技をいろいろと拝見したり、ご一緒させていただく機会があったので(そのすごさは)わかっていたつもりでしたが、ルフィに関してはさらに特別というか、一層強い想いを感じたんです。一番良い状態で本番に臨むための自己管理も含めての、表現。そこがすごいなと、ご一緒させていただいて改めて感じました。すべてが学びです。本当に贅沢な時間でした。

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シャンクスを演じる池田秀一

(取材/文 真鍋新一)

8月6日(土)より全国ロードショー!

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©尾田栄一郎/2022「ワンピース」製作委員会
『ONE PIECE FILM RED』

【ストーリー】
世界で最も愛されている歌手、ウタ。
素性を隠したまま発信するその歌声は”別次元”と評されていた。
そんな彼女が初めて公の前に姿を現すライブが開催される。
色めき立つ海賊たち、目を光らせる海軍、
そして何も知らずにただ彼女の歌声を楽しみにきた
ルフィ率いる麦わらの一味、
ありとあらゆるウタファンが会場を埋め尽くす中、
今まさに全世界待望の歌声が響き渡ろうとしていた。
物語は、彼女が”シャンクスの娘”という衝撃の事実から動き出すー。
「世界を歌で幸せにしたい」とただ願い、ステージに立つウタ。
ウタの過去を知る謎の人物・ゴードン、そして垣間見えるシャンクスの影。
音楽の島・エレジアで再会したルフィとウタの出会いは12年前のフーシャ村へと遡る。

©尾田栄一郎/2022「ワンピース」製作委員会

原作・総合プロデューサー:尾田栄一郎
監督:谷口悟朗 脚本:黒岩勉
声の出演:田中真弓、名塚佳織、Ado、津田健次郎、池田秀一 ほか
配給:東映

(情報は記事公開時点の内容です)

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