DCコミックスのヒーロー・バットマンを主人公とし、世界中で高い評価を受けているクリストファー・ノーラン版バットマンこと「ダークナイト・トリロジー」。
そうした評価の背景にはただの実写映画化として主人公のバックボーンを深堀りしただけでなく、貧困社会が生む闇や時に暴走する正義の恐ろしさをクリストファー・ノーランが見事に描き切っているからだと筆者は考えます。
そんな「ダークナイト・トリロジー」の見どころを【バットマン ビギンズ編】【ダークナイト編】【ダークナイト ライジング編】の3回にわたってお届け。
今回は3部作の完結作となる「ダークナイト ライジング」を紹介します。
バットマンが姿を隠したゴッサム・シティと新たなヒロイン
前作「ダークナイト」のラストで人々の前から姿を消すことを選択したバットマン。
バットマンがいなくなったゴッサム・シティでは組織犯罪対策の法律“デント法”が制定され、警察の活躍によりほぼ全ての組織犯罪がなくなり、秩序と平和が訪れました。
そんな中、ウェイン産業の乗っ取りを企むジョン・ダゲットによって、ブルース・ウェインの指紋が盗まれてしまいます。
その指紋を盗んだ人物こそが、今作のキーパーソンの一人であるキャットウーマンことセリーナ・カイル。新たなヒロインの登場です。
キャットウーマンとは、原作であるコミックか「バットマン」にも登場するキャラクターで、バットマンのアンチヒロイン・ヴィランとして描かれています。
しかし、他のヴィランとは違って完全な悪人や殺人者というわけではなく、時にはバットマンと共通の目的のために行動し、彼とのロマンチックな関係の描写もありました。
「バットマン」の原作者のボブ・ケインとビル・フィンガーは、「犯罪を犯したが、バットマンの潔癖な人生に対するロマンチックで親しみやすい敵」かつ女性的な魅力をもつキャラクターとしてキャットウーマンを創造したといいます。
そんな原作者も肝入りのキャラクターを演じるのは、まさしく女性的な魅力が溢れる女優のアン・ハサウェイ。
前作「ダークナイト」ではジョーカーを演じるヒース・レジャーの怪演が魅力の一つでしたが、「ダークナイト ライジング」では、アン・ハサウェイのばっちりキャストっぷりが魅力の一つと言えるでしょう。
キャットウーマンとして披露する華麗なアクションも見ごたえ抜群です。
ノーランならではのこだわりで描かれる因縁の敵との決着
「ダークナイト ライジング」で登場する傭兵団の首領ベイン。
強靭な肉体と卓越した知性を持ち、第1作「バットマン ビギンズ」に登場したラーズ・アル・グールが抱いた“ゴッサム・シティ破壊”という野望を引き継いだベイン。
原作でも“Broken the Bat(コウモリを破壊)”した唯一のヴィランとされており、姑息な手段や残虐非道な行いでゴッサム・シティを混乱に陥れるだけでなく、バットマンを一度叩きのめしてしまうなど、ヴィランとしての凶悪さが印象的に描かれています。
そんな“ザ・ヴィラン”な振る舞いのベインを演じるのは、同じクリストファー・ノーラン監督の「インセプション」や「マッドマックス 怒りのデス・ロード」での主演で存在感を放つトム・ハーディ。
暴虐なヴィランにふさわしい荒々しい演技を見せつけてくれます。
個人的には、アン・ハサウェイのキャットウーマンに負けず劣らずばっちりなキャストです。
「ダークナイト ライジング」における最大の見どころはやはり、ベイン率いる傭兵団たちとバットマン&ゴッサム市警の大激突。
CGは一切用いず、数千人規模の本物の役者を使って行われるシーンは、本物を求めるクリストファー・ノーランのこだわりが光る圧巻のシーンです。
バットマンとベインの死闘、第1作から続くラーズ・アル・グールとの因縁はどんな決着のつけ方を見せるのか?
ぜひその目で確かめてみてください。
「ダークナイト・トリロジー」はやっぱり3作とも見るのがおすすめ
これまで3回にわたって「ダークナイト・トリロジー」のことを紹介してきましたがいかがでしょうか。
人によっては最高傑作と言われる「ダークナイト」だけ押さえておけばいいと言う人もいるかもしれませんが、ブルース・ウェインの心の成長やゴッサム・シティの人々の変化など、3作全て見たからこそわかるものもあるので、個人的には「ダークナイト・トリロジー」として見てほしいところ。
「バットマン ビギンズ」「ダークナイト」「ダークナイト ライジング」のいずれも魅力的であり、本物にこだわるクリストファー・ノーランならではの作品なのだと少しでも伝われば幸いです。
[吹]8月9日(日)12:00~15:00
[字]8月9日(日)21:00~24:00
[吹]8月27日(木)12:30~15:30
[字]8月27日(木)21:00~24:00