第34回早稲田映画まつり!今泉力哉、鴻上尚史など豪華ゲストが学生映画を審査

“学生の学生による学生のための映画まつり”である第34回早稲田映画まつりが19日、小野梓記念講堂にて行われた。今年の豪華ゲストは今泉力哉、鴻上尚史、達上空也、藤井道人、行定勲。一線で活躍する映画監督・作家・演出家たちが学生の熱量あふれる自主映画作品のなかから選んだグランプリ作品は?

早稲田映画まつり(waseda film festival)
今年で開催34回目となる国内開催数最多の学生自主映画コンペティション。作品は基本的に早稲田大学生、早稲田大学の各映画サークルに所属する学生たちが製作したもので、学生による1・2次審査を通過した一般部門7作品と新人部門1作品が上映される。上映作品のなかからゲスト審査員がグランプリ、準グランプリ(特別賞は任意)を決定。毎年招かれる豪華ゲストによる講評と、監督とのトークセッションもみどころ。

グランプリ・役者賞『春が咲く』押場渚監督

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内気な少女がクソ野郎に出会って覚醒

小・中・高と女子高育ちで大学で初めて男性と関わることになった主人公。おっとりした性格で思ったことを口にできない内気な性格のため、飲みサークルのクソ野郎に襲われそうになってしまう。それがきっかけで、彼女の中で何かが覚醒する…! 翌日から人が変わった彼女は、道行くクソ野郎どもを華麗に叩きのめしていく。わたしは可愛いけど、あなたに可愛いと言われたくない―。飛び蹴りやパンチがさく裂する爽快さや軽やかさ、アイデンティティの確立を遊び心のあるアクションで描いたところが評価された。また、本作で主演を務めた和賀井玲奈は役者賞を受賞した。

監督:押場渚(映画制作グループ☆ひぐらし)
出演:和賀井玲奈、平福泰希、岡本夏実、原光輝 ほか

【あらすじ】
女の子だって本能に従っていいんだぜ! 主人公の春子は引っ込み思案な性格。友達に流されて入ったサークルはひどい飲みサークルだし、恋をした先輩はクソ野郎だった!どんな女の子だって戦える。目覚めろ!戦え!女の子!(公式パンフレットより)

準グランプリ『8月△日 くもり』藤村英恵監督

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凡庸な物語の中に感じる余白

決して奇抜な設定や物語ではない本作。高校時代の3人の同級生が久しぶりに再会して当時の合宿を再現するなかで、過去の出来事や恋愛関係を思い起こす。うち1人が結婚することになり、3人の関係性が変化していく様子を描いている。実際にこの作品に関わったメンバーは全員、高校時代に同じ部活の同級生だというから面白い。作品にもチームワークの良さが出ていて、観終わった後に余白を感じられる点などが評価された。

監督:藤村英恵(シネサイクル叛頭脳)
出演:鶴岡姫那、楫彩那、三枝莉央 ほか

【あらすじ】
昨日の夜、皆瀬から久しぶりに連絡が来た。昔部活で合宿に行った場所に、いつもの3人でもう一回「合宿」に行かないかって。あっさり話がついて8月△日に行くことになった。そしたら全部決まったあとに、皆瀬が、あっさり付け足すみたいに、結婚するって言うものだからびっくりした。結婚………そういえばココ最近あんまり2人に会ってなかった。どうしてるんだろ、(公式パンフレットより)

審査員特別賞『多世界』宮坂一輝監督

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学生映画とは思えない映像技術の高さ

冒頭の字幕と音楽が融合した映像がかっこいい、大学生の自主映画のレベルの高さに驚いたと高評価で、審査員特別賞を受賞した。本作は中国人留学生が主人公の物語。監督の社会を見つめる視点や現実に密接する題材がよく、演者の芝居も評価された。

監督:宮坂一輝(早稲田大学映画研究会)
出演:木村妃葉、男澤博基、平岡ちか、ピクルス ほか

【あらすじ】
16歳で北京大学の理学部物理学院を卒業し、東京の大学にやって来た中国人の徐寧雨は、ある日量子コンピュータの設計を研究する日本人大学院生の橋田樹と出会う。中国政府による留学生を利用した科学スパイ行為が国際問題化し、日に日に中国人留学生への風当たりが強くなる中、二人は共同して究極の理論「多世界方程式」の研究を始める。(公式パンフレットより)

新人賞『花とアイス』泉谷岬監督

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美しいバレエと青春の葛藤を描く

主人公がバレエを踊る姿が印象的な本作。映画サークル内にバレエを特技とするメンバーがいたことから、脚本家にあてがきをしてもらったという。岩井俊二監督の『花とアリス』(2004年)と庵野秀明監督の『ラブ&ポップ』(1998年)から着想を得てつくられた。

監督: 泉谷岬(早稲田大学映画研究会・稲門シナリオ研究会)
出演:岩田樹乃、高野希、泉谷岬 ほか

【あらすじ】
花は転校先の学校に馴染めず、放課後ひとりバレエを踊っていた。しかし、彼と出会ったことで、次第に人々を受け入れ、受け入れられていくようになる。(公式パンフレットより)

映画愛にあふれた上映作品

第34回早稲田映画まつりで上映されたほか作品は下記のとおり。

  • 『環る』島田颯斗監督(個人)
  • 『相剋の街、邂逅の道』安井彬監督(映画制作グループ☆ひぐらし)
  • 『BONE MEETS GIRL』岡田奈津美監督(CINEMAX SIDEVARG)
  • 『ハタル』田口慧震監督(早稲田大学映画研究会)
  • 『まつり』楠城昇馬監督(早稲田大学映画研究会)※八大合同企画

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