“理由なき尾行”映画『二重生活』のあらすじと感想|ネタバレなし

大学院で哲学を学ぶ平凡な女子学生が担当教授から1人の生活や行動を記録するよう勧められ、他人の秘密を暴くことにのめりこんでいくさまを描いた映画『二重生活』(2015年)。本作のあらすじや感想をネタバレなしに紹介します。

映画『二重生活』のあらすじ

2016年に公開された心理エンターテインメント

ゲームデザイナーとして働く恋人の鈴木卓也と同棲している珠は、平凡な女子学生。
大学院で哲学を学ぶ彼女は担当教授の篠原より、修士論文のテーマとして“哲学的尾行”をすることを提案される。
それは無作為に選んだ人間の動向を観察する“理由なき尾行”で、珠は隣人である出版社に務めるサラリーマンの石坂を対象者に選び、尾行を開始する。
妻と子供と一軒家に住み、幸せな生活を送っていたと思ってた石坂の裏の顔を知った珠は、ストーカーのような背徳的尾行に心ときめかせ、日常生活に破綻をきたすほどのめり込んでいく。

映画『二重生活』みどころ

隣人を尾行する大学院生を門脇麦が怪演!

他人の生活をのぞき見することで対象者の秘密を暴いていく禁断のドラマが描かれる本作には、個性的な俳優たちが集結しました。
大学院に通う平凡な女性だったはずが、修士論文作成のために生活を一変させてしまう珠を演じたのは『あのこは貴族』(2021年)の門脇麦。
美しい妻がいながら様々な顔を持つ隣人・石坂史郎を『サムライマラソン』(2019年)の長谷川博己、珠の恋人である卓也を『花束みたいな恋をした』(2021年)の菅田将暉、珠の担当教授の篠原弘を『万引き家族』(2018年)のリリー・フランキーが扮しています。
メガホンをとったのは、本作が映画初監督の岸善幸。
菅田将暉とは『あゝ、荒野(前篇・後篇)』でもタッグを組んだ岸善幸監督が、臨場感のあるカメラワークで尾行の高揚感と人間の孤独を浮き彫りにしました。

作品を読み解くための原作に込められた意味

原作は小池真理子による衝撃的長編小説

原作は、直木賞作家の小池真理子が手掛けた長編小説「二重生活」。
この小説は、アイデンティティの謎を探求し続けているフランス人女性アーティストのソフィ・カルが写真とテキストによって“尾行”にまつわる話をつづった「本当の話」にインスパイアされた物語です。
R-15指定となった映画『二重生活』では、人間の隠蔽された一面を探る主人公の珠が衝撃的な経験をしますが、岸監督の卓越した手腕によって“アイデンティティの物語”へと見事に昇華しました。
そんな味わい深いサスペンスドラマであり、1人の女性の成長の物語にご注目ください。

作品情報

『二重生活』

原作:小池真理子「二重生活」
監督・脚本:岸善幸
出演:門脇麦、長谷川博己、菅田将暉、リリー・フランキー、河井青葉、篠原ゆき子、宇野祥平、岸井ゆきの、西田尚美、烏丸せつこ ほか
製作国:日本
製作年:2015年
上映時間:126分
レーティング:R15+

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