2021年8月6日(金)に新作映画『キネマの神様』が松竹映画100周年記念作品として、沢田研二と菅田将暉のダブル主演で公開される山田洋次監督。
そんな山田洋次監督が 松竹大船撮影所50周年記念作品として製作したヒューマンドラマが『キネマの天地』だ。
映画『キネマの天地』の舞台「蒲田撮影所」とは
映画人たちの熱いヒューマンドラマを描く
1920年に開所した松竹の蒲田撮影所。
日本映画を代表する大物女優である田中絹代主演作『伊豆の踊子』(1933年)や日本映画初となるトーキー長編映画『マダムと女房』(1931年)など映画史的にも価値のある作品が撮影されたこの蒲田撮影所は、“東洋のハリウッド”を目指す映画人たちが闊歩する流行の最先端を行く地でもあった。
その当時の息吹を伝える『キネマの天地』は、1936年に松竹大船撮影所へと移転される直前の蒲田撮影所を舞台とする人情劇だ。
“松竹大船調”と呼ばれる現代劇映画の新しいスタイルを構築した城戸四郎所長や、斎藤寅次郎、島津保次郎、小津安二郎、清水宏ら当時の松竹を担う気鋭の監督たちをモデルに、映画製作に情熱を注いだ映画人たちの熱い思いが描かれたヒューマンドラマだ。
映画『キネマの天地』のあらすじ
大物監督に見出されたヒロインは悩みながらも女優として成長していく
浅草の活動小屋で売り子をしていた小春は、大震災で母を失い、病弱な父と長屋で2人暮らしをしていた。
松竹シネマの小倉監督に見出された小春は訪れた蒲田撮影所でいきなりエキストラとして出演することになるが、上手く演技をすることができずに泣きながら長屋へと戻ってくる。
そんな小春を小倉組の助監督・島田健二郎が迎えにきた。
その説得の言葉に再び女優を目指すことを決意する小春だったが、その一方で情熱的に映画について語る島田に惹かれていく。
そして悩みながらも女優として成長していく小春は、ついに『浮草』の主人公に抜擢されるのだった。
山田洋次監督のもとに集まった豪華キャストたち
日本アカデミー賞では多くの部門で受賞
記念作品として製作された『キネマの天地』では、ヒロインの小春を有森也実、助監督の島田を中井貴一が演じているほか、渥美清、倍賞千恵子、笠智衆、前田吟、松坂慶子、岸部一徳、美保純ほか、松竹映画でお馴染みのオールスターキャストが顔をそろえる。
第10回日本アカデミー賞では、優秀作品賞・優秀監督賞(山田洋次)・優秀脚本賞(井上ひさし、山田太一、朝間義隆、山田洋次)・優秀主演男優賞(渥美清)・優秀助演男優賞(すまけい)・優秀助演女優賞(美保純)・優秀音楽賞・優秀美術賞・優秀録音賞を受賞したほか、有森也実は新人俳優賞に輝いた。