世間を騒がせたスキャンダル「ナンシーケリガン襲撃事件」を描く『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』

いつの時代にも、どこの国にも“毒親”というものは存在する。
『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』に登場する母親も強烈なまでにとんでもない毒親だ。
本作は「ナンシー・ケリガン襲撃事件」で世間を騒がせた元フィギュア選手トーニャ・ハーディングの栄光と転落を描く、実話をもとにしたヒューマンドラマ。
このトーニャ・ハーディングの母親が見た目もインパクトのあるヤバい女性なのだ。

お金のために娘に暴力をふるう毒親が登場

トーニャ・ハーディングはアメリカ女性として初めてトリプルアクセルを成功させたスター選手。
しかし、ある事件をきっかけに世界的な嫌われ者となった。
本作は関係者たちのインタビューをもとに構成されているのだが、それぞれの言い分は大きく違っていてブラック・コメディのような様相を呈している。
幼少期にさかのぼって描かれるのは、お金のために娘をスケート選手にしようと言葉による暴力と物理的な暴力を浴びせる非情な母親。
この母親が諸悪の根源なのでは?とさえ思えてくるが、 この幼少期があってトーニャはDV男と腐れ縁となり、グダグダの展開に突入していく。

毒親の回避は毒親だと認識することから始まる

“毒親”という言葉が生まれてカジュアルに話されるようになったものだが、実際には“毒親”のいる家庭は深刻で悲惨だ。
それと同時に、この言葉のおかげで“パワハラ”や“モラハラ”のように、人々に“毒親”の認識が広まったのではないかと思うとこの言葉の功績は大きい。
本作では苦笑してしまうほど、“毒親”像が滑稽に描かれるので、客観的にどんな存在であるか認識できるはず。
「あぁ、自分の親は俗に言う“毒親”なのか」と認識することができるし、認識すれば少しは回避することもできるのではないだろうか。

オスカー獲得のアリソン・ジャネイが怪演

本作は、純粋にブラックでシニカルなドラマとしても興味深く見れるし、こうあってはならないと反面教師にしたり、気づかずに人間の呪縛を受けていたと気づいたりするなど、人生を歩んでいく手がかりとしても見ることができる。
トーニャ役のマーゴット・ロビーの熱演や、トーニャの母親約で出演してアカデミー助演女優賞を受賞したアリソン・ジャネイの怪演にも注目だ。

配信情報

『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』は、U-NEXTほか配信サービスで配信中。
実際に世間を賑わせたスキャンダルをもとにした衝撃のヒューマンドラマをチェックだ。

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