レオとブラピが初共演!ハリウッド映画への愛に満ちたタランティーノ監督作『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』

『キル・ビル』や『ヘイトフル・エイト』で自らの熱狂的な映画愛を爆発させてきたクエンティン・タランティーノ監督。
そんな彼が、ハリウッドの長い歴史の中でもっともショッキングな出来事といえる「シャロン・テート事件」に取り組んだ作品、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』。
レオナルド・ディカプリオとブラッド・ピットの初共演でも世間をにぎわせた本作に、タランティーノ監督はどんな映画愛を詰め込んだのだろうか?

あらすじ

1969年のハリウッド。
かつてTVの西部劇ドラマで正義のヒーローを演じていたリック(レオナルド・ディカプリオ)も、いまや人気のピークは過ぎ、来る仕事は悪役のオファーばかり。
彼の親友であり、二人三脚で業界を生きてきたスタントマンのクリフ(ブラッド・ピット)は仕事すらなく、日々の雑用を気ままにこなしていた。
そんな彼らの隣家に越してきたのは、ヨーロッパの新進監督であるロマン・ポランスキーと人気女優のシャロン・テート(マーゴット・ロビー)の夫妻。
明暗別れるこの2組の間に、謎の男・チャーリーを中心とする怪しげなファミリーが忍び寄る。
1970年代を目前に控え、大きな転換期を迎えようとしていたハリウッドで、「運命の日」が刻一刻と近づいていたのだった…。

ハリウッドを震撼させたシャロン・テート事件と時代背景

1969年8月9日、映画監督ロマン・ポランスキーの妻で女優のシャロン・テートを含めた若い男女4人が何者かに惨殺される事件が起きた。
後に言う「シャロン・テート殺人事件」である。
犯行に及んだのはとある“ファミリー”のメンバーである3人。
犯人たちは、ファミリーのボスであるチャーリーという男が宣言した『「黒人と白人による最終戦争<ヘルタースケルター>」に則り、顔も名前も知らないシャロン・テートたちを惨殺したのだという。

そもそも1960年代後半のアメリカといえば、長期化するベトナム戦争や、それに対する反戦運動が起こるなど歴史的にかなり混沌とした時代。
そんな中、既成社会の伝統や制度、保守的な価値観に対するカウンターカルチャーを担った「ヒッピー文化」が若者を中心に浸透していき、ドラッグやセックスを求める人々が街中にあふれ、ロックバンドのコンサートには若きヒッピーたちが大挙するような事態も起きていた。
そしてそこに現れたのが、後にシャロン・テートたちを殺害する“ファミリー”を率いることになるチャールズ・マンソン(通称チャーリー)である。

チャーリーはたびたび犯罪を繰り返し、人生の大半を施設や刑務所で過ごしてきたという。
そんな彼には「ミュージシャンになる」という夢があり、刑務所で習ったギターとヒッピーたちを引き付ける魅力でたちまちファミリーを形成。
さらには大物ミュージシャンと知り合い、その人物がパイプとなってプロデューサーと知り合っていくなど、彼の音楽人生は順調かに見えたが、大物ミュージシャンがある日引っ越してしまったことでパイプが途切れ、チャーリーのレコードデビューもファミリーたちの居場所も失くしてしまう。
チャーリーはプロデューサーの家に押し掛けるも、プロデューサーも既に引っ越してしまったと言われて門前払いに。
チャーリーは後にそのプロデューサーに復讐することを誓うも、実はプロデューサーが住んでいた家に引っ越してくるのがロマン・ポランスキーとシャロン・テート夫妻で…。

今は亡き映画スターと交流できる夢のような時間へ

主演を務めるのは、レオナルド・ディカプリオとブラッド・ピット。
意外にも本作が初共演となる2人のハリウッドスターが事件当時の撮影所や住宅街を行き交い、スティーヴ・マックィーンやブルース・リーといった今は亡き実在のスターたちと交流する、夢のような時間を過ごすことができる。

また、タランティーノ監督作品で常に話題となるのが、劇中で流れる音楽。
ただのBGMに収まらない魅力あふれる選曲センスは健在で、本作では1969年のヒットチャートをにぎわせた名曲たちによって、当時を追体験しているような感覚にさせてくれる。

クエンティン・タランティーノ監督が『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』に込めた映画への愛を、ぜひたっぷりと感じ取ってほしい。

(情報は記事公開時のものです)

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