あの名言の真実とは!?エジソンの意外な素顔を描いた映画『エジソンズ・ゲーム』

照明、電化製品、コンピューターなど、私たちの生活を支えてくれるものの多くは電気によって動いています。
そんな電気のある生活の原点には、2人の男による壮絶なビジネスバトルがあったことをご存知でしょうか?
その男たちの名は、“天才発明家”エジソンと“カリスマ実業家”ウェスティングハウス。
彼らの戦いを追うことで、今日の私たちの生活の成り立ちが見えてくるのです。
今回は、その壮絶なビジネスバトルとエジソンの意外な素顔を描いた映画『エジソンズ・ゲーム』をご紹介します。

あらすじ

1880年、電気によって「夜を葬る」と宣言した人物がいた。天才発明家と崇められ、大統領からの仕事でさえ気に入らなければ断る傲慢な男=トーマス・エジソンである。
そして1882年、エジソンは自ら発明した電球を電気で光らせることに成功する。
一方、実業家のウェスティングハウスは、大量の発電機が必要なエジソンの直流送電方式よりも、1基で遠くまで電気を送れて安価な交流方式の方が優れていると考えていた。
また、エジソンの会社「エジソン・エレクトリック」に採用されたオーストリア移民の発明家テスラも、交流の方が効率的だとエジソンに提案するが一蹴されてしまう。
そんな中、ウェスティングハウスは交流式の実演会で成功をおさめる。
しかし、その実演会で自分の電球が使われたと聞いて激怒したエジソンは、新聞記者を集めて「交流は感電しやすくて死を招く」と、ウェスティングハウス攻撃しはじめ…。
こうして世紀の“電流戦争”が幕を開けたのだった!

カンバーバッチの好演が“エジソンは偉い人”のイメージを覆す!

エジソンを演じるのはベネディクト・カンバーバッチ。
“天才”、“発明王”、“産業の父”、“偉い人”…と、様々なイメージのあるエジソンですが、カンバーバッチが創り上げたのはそのどれとも違う、人としての欠点を抱えた天才。
一見するとエジソンはひどい奴に思えるのですが、プライドのために時には手段を選ばない彼の苦難や葛藤も描かれるため、その姿が余計に悲しく映るのもポイントです。
また、ベネディクト・カンバーバッチはエジソンを演じるにあたり、「“近代アメリカの発明家”としてしか捉えていなかったけど、実際はそれ以上であり、それ以下でもあった」と理解していき、悪人のように演じるのではなく“堕ちた英雄”として表現したとのこと。
「“産業の父”という皆が持っているイメージから彼を引き離すようにしたんだ。スティーブ・ジョブズやビル・ゲイツやマーク・ ザッカーバーグを、敵意に満ちた敗者にするような感じでね。でも、彼はビジネスや裁判での争いに執着していても、同時に良い行いもしていた。人間らしい欠点こそあるものの、やはり非凡な人だったんだ」と語っています。

ライバルのウェスティングハウスとテスラも魅力的

手段を選ばないエジソンとは対照的に、ライバルのウェスティングハウスは間違いなく思いやりがある人物。
実は土曜日が休みなのはウェスティングハウスのおかげである(ウェスティングハウス社では従業員が野球をしに行けるよう、土曜日は半分休みにしていた)ことからも、その人柄がわかることでしょう。
そんなウェスティングハウスを、マイケル・シャノンが魅力的に演じています。

また、ウェスティングハウスとタッグを組み、エジソンと敵対することになるもう一人の天才・テスラをニコラス・ホルトが担当。
エジソンに近いようで違う天才がときには失敗しながらもはい上がっていく姿を、彼のプライドや苦悩を交えながら演じきっています。
テスラとエジソンは直接的に会話するシーンこそ少ないものの、彼らの敵対は印象的。

エジソンの名言「天才とは、1%のひらめきと99%の努力である」は、「努力することが大事なんだ」という意味で捉えている人も多いかと思いますが、そのあとエジソンはそれを以下のように否定しているのです。

「私は1%のひらめきがなければ、99%の努力は無駄になると言ったのだ。なのに世間は勝手に美談に仕立て上げ、私を努力の人と美化し、努力の重要性だけを成功の秘訣と勘違いさせている」

実はこの発言は、エジソンの名言を受けたテスラの「天才とは、99% の努力を無にする 1% のひらめきのことである」という発言によって引き出されたもの。
結局のところエジソンがどちらの意味であの名言を言ったのかはわかりませんが、こうした二人の関係性も面白いポイントではないでしょうか。

一癖も二癖もある人物たちを豪華キャストが熱演

エジソンやウェスティングハウス、テスラの他にも、物語を盛り上げる魅力的な人物たちが登場。
エジソンの助手であるインサルにMCU『スパイダーマン』シリーズのトム・ホランド、エジソンの支えでもある妻・メアリーに『ダウントン・アビー』のタペンス・ミドルトン、ウェスティングハウスの妻・マーガリートを『ファンタスティック・ビースト』シリーズのキャサリン・ウォーターストンがそれぞれ演じています。

一癖も二癖もある人物たちを演じるこの豪華キャストたちにも注目です。

おわりに

エジソンとウェスティングハウスの最後の会話は、天才たちから私たちに贈るメッセージ

「歴史劇」というと小難しく思えるかもしれませんが、『エジソンズ・ゲーム』は、エジソンという人物を何となくのイメージでしか知らない人こそ楽しめる作品。
時代とともにエジソンとウェスティングハウスの優劣が変わっていくのですが、そうした情勢も視覚的にわかりやすいように表現されており、非常に見やすい作品に仕上がっています。

個人的にこの作品で一番注目してほしいのは、エジソンとウェスティングハウスが交わす最後の会話。
ウェスティングハウスが語るたとえ話は、争った2人だからこその説得力をもった私たちへのメッセージでもあります。
きっと、見た人全てがハッとしてしまうような考え方のはず。
ご興味をもたれた方はぜひ、この映画を見て、天才たちからのメッセージを受け取ってください。

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