Amazon Prime Videoで独占配信中のSFストップモーションアニメ映画『JUNK HEAD』(ジャンク・ヘッド)は堀貴秀が7年の制作期間をかけて1人で完成させたという衝撃作品。紆余曲折を経て2021年3月に劇場公開されると独特の世界観や緻密な映像が映画ファンの間で話題に。今回は壮大なSF3部作の1部にあたる『JUNK HEAD』のあらすじや魅力を紹介!
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映画『JUNK HEAD』あらすじ
未来は<<ガラクタ>>に託された
地球の環境破壊が進み、人類が地上に住むことができないほどになってしまった。人類は地下で生きるために、人口生命体である“マリガン”を創り出し、労働力として活用していた。しかし意思を持ち始めたマリガンと人類は対立し、地下はマリガンに乗っ取られてしまった。それから1600年の歳月が経ち人類は遺伝子操作によって生殖機能を失う代わりに永遠の命を手に入れた。そんな中、新種のウイルスによって絶滅の危機に瀕した人類は、地下世界で独自の生態進化を遂げるマリガンの調査に乗り出した。その調査員としてダンスの先生をしていた“主人公”は地下へ…。たくさんの危険が潜む地下でマリガンたちと人類を救うための冒険に挑む!
映画『JUNK HEAD』みどころ
気が付いたら画面に釘付け
約14万コマもの画像をつなぎ合わせて作成された映画『JUNK HEAD』は、キャラクターのダイナミックなアクションシーンから、ちょっとした表情の変化まで丁寧に作りこまれており、気が付けば画面に食い入るように見ていた。作品の世界観や登場生物の関係性などを理解するために頭を使いながら観ていたが、その思考を邪魔しない映像のクオリティの高さに驚くばかりだ。
また、血が流れたり体が引き裂かれたりとグロテスクなシーンもある。わたしは正直なところそういった作品は好みではないが、人形で表現されるているため最後まで観きることができた。…ちょっとのグロもNGな方には少々キツイかもしれないが。ぜひもう一度いろんな角度から見返してみたい作品である。
作中のコメディ要素が私的にツボ
作品のポスターを見た時から、「きっと頭をフル回転させながら観る作品で、いろんな考察が飛び交うような映画なんだろうなー」と思っていたし、あらすじを見た感じだとNieR:Automata(人類の遠い未来を描いたSFゲーム)みたいな世界観なのかなと想像していた。
実際、環境破壊で地上に住めなくなった人類が地下へ進行し、かつて対立していた異生物の調査を課題としている…という前提のもとでストーリーを理解する必要があるため頭は使うが、所々に散りばめられた笑いが「あ、そんなに肩ひじはって観なくてもOKかも」と思わせてくれた。地下に住むマリガンたちがお茶目で可愛らしい。ちなみに私のお気に入りは、掃除ロボになった主人公が強烈なヘッドライトでマリガンを照らしつけてしまうシーンだ(3回巻き戻して観た)。
映画『JUNK HEAD』を1人で作った堀貴秀とは?
作品愛にあふれたクリエイター
「たった1人で」「映画は独学」「制作期間7年」などのインパクトのある制作背景にも注目が集まった。かく言うわたしもアマプラでほかの作品を視聴中に流れてきたCMに釣られて本作を観たくちである。YouTubeにあがっている制作の裏側を記録した映像なども観たが、途方もないカット数を撮影するのは想像しただけでも気が遠くなる。それをほぼ1人でやり遂げるのだからすごすぎる。彼の作品への情熱はどこから来るのか聞いてみたいものだ。
本作は上映時間が99分と映画にしては短め。物語は、ここから本格的に冒険が始まるぞ! というところで終わっている。もっと観たいと思ったが、制作現場のことを考えると99分の映像を作り上げてくれたことに感謝しなくてはいけない気持ちになった。本作は壮大なSF作品の第1部であり、続編が今から楽しみで仕方ない。
映画『JUNK HEAD』作品情報
監督・原案・キャラクターデザイン・編集・撮影・照明・音楽 ほか:堀貴秀
音楽:近藤芳樹
製作年:2017年
製作国:日本
上映時間:99分
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