國村隼が“謎の男”を怪演!韓国で700万人が観た衝撃のサスペンス・ホラー『哭声/コクソン』

『チェイサー』(2008年)、『哀しき獣』(2010年)を手掛けた韓国の鬼才ナ・ホンジン監督によるサスペンス・ホラー『哭声/コクソン』(2016年)。
20世紀FOXの配給によるこの映画は、韓国で約700万人の動員を記録したという大ヒット作だ。
タイトルになっている「コクソン」は、ホンジン監督が幼少期に住んでいた韓国の実在する地名「谷城」と“泣き叫ぶ”を意味する「哭声」を掛け合わせたもの。
サスペンス、コメディ、ホラー…様々なジャンルを網羅した、一筋縄ではいかない衝撃作を堪能して欲しい。

概要

被害者側の視点に立ってつむぐサスペンス・ホラー

これまで事件へと自ら飛び込んでいく男性を主人公としたクライム映画を手掛けてきたナ・ホンジン監督が、韓国の名バイプレーヤーであるクァク・ドウォンを主演に迎え、被害者側の視点に立ってつむいだ『哭声/コクソン』。
混沌・混乱・疑惑をテーマとするこのサスペンス・ホラーでは、平和な村に起きた連続殺人事件の容疑者となる日本から来た“よそ者”を軸に物語が展開していく。
このよそ者に日本人を起用した理由について、ホンジン監督は「新約聖書から多大な影響をうけた」と前置きした上で、「エルサレムに向かうイエスがユダヤ人にとってどう見えたか」を表現するために、敵か味方か、一見しただけでは容姿において見分けがつかない“異邦人”が必要だったと語っている。

あらすじ

田舎の村で連続殺人が起こり、村人たちは謎の日本人に疑惑の目を向ける

平和な田舎の村「谷城(こくそん)」で、家族を惨殺する殺人事件が次々と起きていた。
警察官ジョングはこれらの不可解な事件の調査にあたるが、殺人犯がみな一様に体中を湿疹で覆われ、最期は苦しみながら亡くなっていく姿を目の当たりにして愕然とする。
一方、ある日本人男性がふらりとやってきた頃から連続殺人が始まったことから、村ではこの謎の男が犯人なのだという噂が流れ始める。
そこでジョングは同僚の警察官と共に、キリスト教会で助祭を務める同僚の甥を通訳にして日本人の家まで訪ねて行くが、それをきっかけとするかのようにジョングの娘ヒョジンの体にも湿疹が出始める。

見どころ

國村隼が“謎の男”を怪演

事件の鍵を握る“謎の男”を演じたのは、日本映画界の重鎮・國村隼。
オープニングの川釣りをする穏やかな表情をした日本人男性から一変、人々の噂や回想の中では悪夢のような形相で登場する。
國村は、山から転げ落ちたり、時には滝に打たれたりとかなり過酷だった撮影について「これまで出演した中で一番体力を使った作品」とコメント。
一方、「尊敬している日本人と仕事をしてみたかった」というナ・ホンジン監督は、國村の演技力に圧倒されたと語っている。
本作はカンヌ国際映画祭ほか世界各国の映画祭で称賛をもって迎えられたほか、韓国の権威ある映画賞「青龍映画賞」では監督賞含む5部門で受賞。
うち、國村は外国人で初となる「男優助演賞」と「人気スター賞」の二冠に輝いた。

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