7年の時を経て待望の映画化が実現した『マスカレード・ホテル』
©2019映画「マスカレード・ホテル」製作委員会 ©東野圭吾/集英社

■“話題の一冊”では、小説やコミックを映像化した作品の放送情報を紹介。ドラマや映画を見てから原作を読んで、より詳細な心理描写や物語の背景を楽しんでもよし、先に原作を読んで、思い描いた世界が目の前に広がるのを楽しんでもよし。自分好みに物語を2度味わえる作品たちはこちら!■

2019年に木村拓哉・長澤まさみら豪華キャストで映画化された『マスカレード・ホテル』は、累計480万部を突破した東野圭吾の「マスカレード」シリーズ第一作目が原作。

連続殺人の次の犯行予告現場である一流ホテル・コルテシア東京で、フロントクラークに扮して犯人を追うエリート刑事・新田浩介を演じるのが木村拓哉。彼の教育係に任命された、コルテシア東京の優秀なフロントクラーク・山岸尚美長澤まさみが演じる。事件解明のため、刑事として客を疑い仮面を剥がしたい新田と、ホテルマンとしてお客様を信じ仮面を守りたい尚美。正反対な2人がぶつかり合いながらも、互いのプロ意識に触れることで事件解決という同じ目的に向かっていくこととなる。松たか子、生瀬勝久、勝地亮、菜々緒、笹野高史、髙島政宏らが演じる怪しげな宿泊客にも注目。誰が宿泊客で誰が犯人なのか?究極の騙し合いが幕開けする。

映画・チャンネルNECOにて9月23日午後7:00~9:20放送。続けて第二作『マスカレード・ナイト』も放送されるので、一気見がおすすめ。

原作者・東野が映画化にゴーサインを出した理由

2011年、第一作『マスカレード・ホテル』の刊行後、作者・東野圭吾の元には次々と映像化の話が舞い込んできた。しかし、東野は余程のことがない限り映像化を許諾しないつもりでいた。『マスカレード・ホテル』に続き、この物語を新たな自分のシリーズにしようと考えていた東野にとって、イメージを固定化されることを避けたかったからだ。

2014年には第二作の『マスカレード・イブ』、2017年には『マスカレード・ナイト』を刊行し、この「マスカレード」シリーズは東野圭吾作品の中でも屈指の人気を誇るシリーズへと成長した。

そうして第一作の刊行から6年の時を経た時、ある映画の企画書が東野の元へ届く。そこに書かれていた「新田浩介=木村拓哉」という文字を見て、激しく迷うこととなる。『マスカレード・ホテル』の連載中、新田を描く際に漠然と思い浮かべていたのが、まさに木村拓哉だったからだ。 悩んだ末、何かの縁を感じるので許諾しようと思うと担当者に告げると、担当者からも「それでいいと思います」という答えが返ってきた。

そうして刊行から7年経ち待望の映画化が実現されることとなった。映像化された作品を見た東野は「いろいろな意味で感慨深かったです。自分が頭の中で描いた様々なエピソードが、鈴木監督の手によりドラマチックに、そしてスリリングに再現されていました。さらにキャラクターたちが魅力的でした。長澤まさみさんの山岸尚美は聡明で気高く、小日向さんの能勢は曲者で不気味。その他の登場人物たちも怪しさ十分です。新田浩介はどうだったかって?そんなこと、いうまでもないでしょう」と述べ、原作者も太鼓判を押した作品に仕上がっている。

日本最大級のスタジオに建設された美しいホテルロビー

映画のもうひとつの主役である物語の舞台、“ホテル・コルテシア東京”。基礎から装飾まで1か月以上かけて東宝スタジオにロビーとバックヤードの一部が作られた。作者・東野圭吾は執筆の際、日本橋のロイヤルパークホテルをイメージしていたことが知られており、美術部はまずロイヤルパークホテルを研究した。その後、日本各地の一流ホテルも見て回り、構想を練り上げた。

”ホテル・コルテシア東京”の特徴は、全ての要素がシメントリーに配置されていること。これは『HERO』などでも見られる鈴木監督が得意とする空間演出だ。シメントリーにすることで刑事・新田とホテルマン・尚美を対照的に描きやすくなるとともに、シメントリーな建設は一般的に荘厳さが増すと言われている。実は一般的なホテルは入って左右どちらかがフロントになっていることが多いが、コルテシア東京は真正面にフロントがあり、入口からフロントまで一直線で綺麗なシメントリーとなっている。エントランスには海外から特注した直径3mのシャンデリア2つが飾られ、本物のホテルと見間違うような豪華絢爛なホテルのロビーが再現されている。

正面左側にある階段の中央にはバラの花でできた仮面のオブジェにも工夫が。マスカレード=仮面を象徴していることはもちろんのこと、そのオブジェが作品中で少しずつ作られていく過程を映像に取り込むことで、時間経過を表している。

あらすじ

ca0be9e6cf98f8d1d82d1f9a2d9fa778 - 7年の時を経て待望の映画化が実現した</br>『マスカレード・ホテル』
ー原作紹介ー
■マスカレード・ホテル=書名 ■東野 圭吾=著者
■集英社文庫=刊 ■定価836円

連続殺人の容疑者は、全宿泊客―。都内で起こった3件の殺人事件に残された不可解な数字の羅列から、次の犯行場所が一流ホテル・コルテシア東京と判明。しかし犯人への手掛かりは一切不明。若きエリート刑事・新田浩介がフロントクラークに扮して犯人を追うこととなる。彼の教育係に任命されたのは、お客様第一の優秀なフロントクラーク・山岸尚美。次々と現れる怪しげな宿泊客を刑事として疑う新田と、ホテルマンとして信じる山岸。立場も性格も正反対な2人が、ぶつかり合いながら難事件に挑む!

[映]マスカレード・ホテル

放送局:映画・チャンネルNECO
放送日:2023年9月23日
放送時間:午後7:00~9:20
制作年/国:2019年/日本
監督:鈴木雅之
出演:木村拓哉、長澤まさみ、渡部篤郎、小日向文世、篠井英介、梶原善、泉澤祐希、石川恋、東根作寿英、鶴見辰吾、石橋凌ほか

あなたにオススメ