『不思議の国のアリス』とは
ファンタジー文学の古典として現在も広く読まれ続けている『不思議の国のアリス』。数学者ルイス・キャロルが知人の少女・アリスのために作ったおとぎ話を1865年に小説として刊行したもので、ディズニー・スタジオによるアニメーション版(1951年)や、CG技術を駆使して壮大な内容になった実写版『アリス・イン・ワンダーランド』(2010年)など、映画・ドラマにかかわらず世界各国で多くの映像化作品が存在しています。
1903年の初映画化
初めて映画化されたのは、刊行から約40年後の1903年。まだ映画に音がなかった時代の作品で、セリフや説明が字幕で表示されています。映画が始まるとアリスとウサギが登場。ウサギの掘った穴にアリスが落ちるのではなく、横に掘られた穴をそのまままっすぐ進んでいきます。
上映時間は8分! 主なシーンは…
現在の残っているフィルムは8分だけ。もともとは12分の作品で、現在までの間にいくつかの場面が欠落してしまったそう。 それでも物語自体は有名なので、それでも内容を理解することは簡単にできます。小さな扉の鍵を開けたり、謎の液体を飲んで小さくなったり、今度はケーキを食べて大きくなったり。「帽子屋」とウサギのお茶会の様子も当時のトリック撮影を駆使してきちんと映像化されています。
白黒映画の時代にカラー技術?
映画が発明されてすぐは白黒で、音声もなかった映画ですが、それでも一部の場面で画面に色がついているように見えるのはなぜでしょう。それは、映画のフィルムに直接染料を浸透させ、空が明るい場面では太陽の光を思わせる黄色い色、暗い場面では青い色に画面全体が染められています。