30年前の作品ながらいまだにパロディに用いられたり、何かと引き合いに出されたりするサイコ・サスペンスの金字塔である『羊たちの沈黙』。
アカデミー賞主要5部門と言われる作品賞、監督賞、脚本賞、主演男優賞、主演女優賞を獲得している名作だ。
当時、サイコ・サスペンス映画としてはアカデミー賞評価が高いのは珍しいと言われたが、通常のジャンルムービーにはおさまっていない見ごたえある作品となっている。
あらすじ
事件を追うクラリスはレクター博士の協力を求めるが…
女性を誘拐して殺害し、皮を剥ぐという連続殺人事件が発生し、犯人は“バッファロー・ビル”と呼ばれていた。
FBI訓練生のクラリスは事件の捜査を任命され、9人の患者を惨殺して食べた異常な凶悪犯であり天才的な元精神科医であるレクター博士の協力を求めることに。
当初は協力を拒絶していたレクター博士だが、クラリスに彼女自身の過去を語らせることを代償に、助言することを約束するのだった…。
名優アンソニー・ホプキンスの怪演が光る
トマス・ハリスによる同名小説を『フィラデルフィア』などのジョナサン・デミがメガホンを取って映画化。
事件を追うヒロインを『マネーモンスター』などのジョディ・フォスターが演じ、元精神科医であるハンニバル・レクター博士を『ハンニバル』や『レッド・ドラゴン』でも同役を演じたアンソニー・ホプキンスが怪演している。
サスペンス映画に多大な影響を与えた作品
本作の公開前と後ではサスペンス映画のありようが変わったほど、映画界に大きな影響を与えた作品である『羊たちの沈黙』。
行動科学に基づいて犯人像を分析して推測するプロファイリングなるものが描かれ、以降犯罪サスペンスで定番となった。
また、犯罪者でありながら、犯罪者心理に長けていて助言を行うレクター博士のようなキャラクターも犯罪サスペンスで見かけるように。
異常な凶悪犯でありながら天才的な頭脳を持ち、ミステリアスな存在であるレクター博士の魅力は本作の大きなカギと言えるだろう。