環境活動家グレタ・トゥーンベリの現在へ続くドキュメンタリー
© 2020 B-Reel Films AB, All rights reserved.

若き環境活動家として世界的に有名なグレタ・トゥーンベリ。スウェーデンに住む現在18歳の少女はなぜ気候変動の危機を訴えるのか。映画『グレタ ひとりぼっちの挑戦』は信念をもって活動を続けるグレタに迫ったドキュメンタリー。

グレタの活動に密着したドキュメンタリー映画

SDGsが話題の今こそ観たい映画

気候変動や地球環境問題を訴える環境活動家のグレタ・トゥーンベリ。15歳のとき、彼女がたった1人でスウェーデンで始めた学校ストライキは世界中の注目を集め、多くの若者に影響を与えた。
映画『グレタ ひとりぼっちの挑戦』は、グレタが1人でストライキを計画していると聞きつけた監督のネイサン・グロスマンが、グレタに密着取材を申し込んだことがきっかけで撮影がスタートした。当初は先のことは何も決まっておらず、ネイサン監督は、「短編映画になるかもしれないし、子どもの活動家を取り上げたシリーズにして、その中の1本になるかもしれない」とグレタに伝えていたという。その後、グレタの活動は世界的なムーブメントを巻き起こし、本作はグレタ自身を描いたドキュメンタリー映画となったのである。
本作は、彼女の考えを最も正確に色濃く反映し、これまで誰も知らなかったグレタの素顔を知ることが出来る貴重な映像の記録。2020年のヴェネチア国際映画祭やトロント国際映画祭などで高く評価され、コロナ禍の世界20か国以上で公開された。地球温暖化問題のドキュメンタリー『不都合な真実』(2006年)と比較されることも多い本作だが、気候変動の資料的な作品ではなく、グレタの生き方に迫る作品となっている。SDGsの取り組みが社会的に注目されるようになったいま、ぜひチェックしておきたい作品だ。

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グレタ・トゥーンベリ (Greta Thunberg)
2003年、オペラ歌手の母・マレーナ、俳優で作家の父・スヴァンテの長女として生まれた。現在18歳で、妹のベアタと4人家族でストックホルムで暮らす。2011年に学校の授業で環境問題に関する映画を見た後、摂食障害になるほどショックを受け、それ以降、塞ぎこむことが増えた。後に、ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)と診断される。彼女は菜食主義者になり、飛行機での旅行を断るなど生活習慣を変えた。気候問題に関しての独学を続け、2018年には学校ストライキをはじめ、彼女の活動が世界に波及すると、グレタは世界各地の会議に出席。大物政治家などの大人たちを相手に動じることなく厳しく批判し、気候変動の具体的対策を打つよう訴えつづけている。グレタの「Fridays For Future(未来のための金曜日)」と名付けられた運動は、南極大陸を除くすべての大陸で広がった。アメリカのタイム誌による「パーソン・オブ・ザ・イヤー」に史上最年少で選出され表紙を飾り、2019年、2020年と2年連続でノーベル平和賞にノミネートされている。

誰も知らない少女・グレタの素顔

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ありのままのグレタ・トゥーンベリ

トゥーンベリ一家の協力のもと撮影された本作には、政府首脳らとの会談や、マスコミを賑わせた公式行事への出席、世界中で抗議活動を行うグレタの姿をはじめ、ニュース番組で流れる姿とは異なるグレタの素顔にもカメラが向けられている。そこには、家族と笑い合いリラックスする姿や、スピーチ原稿を懸命に執筆する姿に加え、休みなく続く旅へのストレス、世間からの目に葛藤するグレタの姿が映し出されている。
グレタが有名になるにつれ、支持者が増える一方で批判的な意見やグレタを傷つけるようなメッセージも増えていった。父のスヴァンテは、グレタの環境活動家としての活動を全面的にフォローしつつ、1人の娘として心配する姿も印象的だ。グレタを突き動かすエネルギーや、彼女が何に悩み、怒り、喜びを感じているのか、環境活動家の側面だけでなく、“少女・グレタ”の素顔もありのままに映し出している。

グレタ・トゥーンベリからのメッセージ

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気候変動を危機として捉え、安全な未来を守ってほしい

私はこの映画が大好き。私自身と私の日常をありのままに映しているから。私たち若者が面白半分で学校ストライキをやっているわけではないということを、映画を見た人に分かってほしい。私たちが抗議活動をしているのは、他に選択肢がないから。私が学校ストライキを始めたことで、色々なことが起ったのは確かだけど、残念ながら私たちはまだ出発点から先には進んでいない。今はまだ必要な変化や問題意識の高まりすらもまったく見えてきていない。とにかく私たちが社会に求めているのは、気候変動を危機として捉え、安全な未来を守ってほしいということだけ。映画を見れば、その実現までどれ程遠いのか、“もう時間がない”という科学的なメッセージが全く伝わっていないということも分かってもらえるはず。

映画『グレタ ひとりぼっちの挑戦』あらすじ

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きっかけは1人で始めた学校ストライキ

2018年8月、15歳の少女グレタ・トゥーンベリが、スウェーデンのストックホルムにある国会議事堂前でたった1人で始めた学校ストライキ。気候変動に対する政治的対策を訴えるため、手作りの看板をつくり、リーフレットを配りながら通行人の質問に答えていた。“FFF”(Fridays For Future)と呼ばれたこのストライキ活動は、瞬く間に世界中へ拡散され、グレタを支持する多くの若者たちによってムーブメントが巻き起こり、各地で環境問題について意見を主張したりデモを行ったりする若者が急増した。グレタはさまざまな国際的な場やイベント、国連などに招かれ、父のスヴァンテとともに、2018年のCOP24や2019年の世界経済フォーラム(ダボス会議)などに参加し、スピーチを行った。しかし、気候変動の問題に危機感を抱かない権力者たちへグレタの不満は高まっていく。一方で、グレタへの心ない言葉や反対意見、脅迫メッセージなどが寄せられ、父のスヴァンテは大きな不安を感じ始めるが、グレタは世界の危機を伝えるという使命に燃えて行動を続けるのだった。

『グレタ ひとりぼっちの挑戦』

<作品情報>
公開日:2021年10月22日(金)より新宿ピカデリーほか全国公開
原題:I AM GRETA
監督・脚本:ネイサン・グロスマン
脚本:ペール・K・キルケゴー、ハンナ・レヨンクヴィスト
出演:グレタ・トゥーンベリ/スヴァンテ・トゥーンベリ/アントニオ・グテーレス/エマニュエル・マクロン/アーノルド・シュワルツェネッガー/ドナルド・トランプ ほか
製作年:2020年
ジャンル:ドキュメンタリー
上映時間:101分
配給・宣伝:アンプラグド
公式HP:https://greta-movie.com/

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