90年代カルチャー盛りだくさんの青春映画!ジョナ・ヒル初監作品『mid90sミッドナインティーズ』

 少年たちの会話やしぐさから、彼らの心情が手に取るようにわかる。青春は痛くてもどかしい。見ていて恥ずかしくなったり微笑ましくなったり、せわしなく感情をつつかれるような感覚になる。
 90年代の音楽やファッション、ゲームなどで彩られたこの青春映画は、ジョナ・ヒル監督の10代の思い出をもとにしているのだとか。 2018年にアメリカでヒットした本作品が、2020年に日本上陸!

あらすじ

 舞台は1990年代半ばのロサンゼルス。13歳のスティーヴィーは、兄と母との3人暮らし。体が小さいスティーヴィーは、兄と喧嘩をしてはめった打ちにされる日々を送っていた(一緒にゲームをするなど仲が悪いわけではないようだが、かなり激しい喧嘩をしょっちゅうしている)。 兄を見返したいという思いを抱き、音楽やファッションに興味深々の少年だ。
 スティーヴィーは、街でスケートボードをするヤンチャ少年たちに憧れ、ある日彼らの入り浸るスケートボードショップを訪れた。徐々にスティーヴィーと少年たちは仲良くなり、一緒に多くの時間を過ごすようになる。

少年たちの心情をカッコよく描く

 まずこの映画は、シンプルにカッコいい。門限をしっかり守るいい子のスティーヴィーが、ヤンチャ集団とつるむことで悪い子になっていく映画かと思いきや、そんなことはなかった。
 プロ並みのスケートボードの腕前を持つカッコいいの象徴・レイ、家は金持ちだが夢がなく、毎日パーティー三昧のファックシット、無口でいつもカメラを回しているフォースグレード、みんなの弟分・ルーベン。彼らの関係性が、丁寧に、かつ90年代の音楽にのせてカッコよく描かれている。映画序盤、たまり場で水汲みをスティーヴィーに押し付けるルーベンと、それを嬉しそうに受け入れるスティーヴィーのやりとりや、レイとファックシットのすれ違いの心情など、むず痒い青春時代の感覚が甦る。仲良くなって間もないルーベンとスティーヴィーが、二人きりでタバコを吸いながら喋るシーンは見ていて微笑ましくなるほどだ。
 そして映像!全編16mmフィルムで撮影されており、味のある仕上がりになっている。フォースグレードが撮影した少年たちの映像シーンには、ただただ心打たれた…。

さいごに

 個人的にはスティーヴィーの兄・イアンが心にひっかかる。イアンが笑顔のシーンがひとつもないのだ。母親のダブニーはスティーヴィーが産まれてから良い母になったようで、その複雑な家庭環境がイアンに大きな影響を与えているようだが…。この先イアンが楽しい人生を歩んでくれることを願う。
 さて、本作品は映時間が85分と短めだ。コロナ禍ではあるが、映画館に足を運んでさくっと観るのにおすすめできる。映像の随所に90年代を思わせるアイテムが散りばめられているので、それを見つけるのも面白い(筆者はそれほど90年代カルチャーに詳しくはないが、詳しい方なら一層楽しめるだろう)。
 ジョナ・ヒルの役者としてのコメディ感とは裏腹な、繊細で爽やかな青春映画。背伸びする少年たちに共感し、誰も裁かれない優しさに包まれた本作で、ノスタルジックに浸ってみてはいかがだろうか。

あなたにオススメ